会計ソフトはいつ導入すればいいのか?

トップ画像

    ■プロフィール税理士 村松 武司 氏
    1971年 大阪府八尾市生まれ
    1990年 清風学園高等学校 卒業
    1994年 同志社大学 法学部 卒業
    1994年 大手鉄鋼メーカー 入社
    1998年 会計事務所 勤務
    2005年 税理士試験5科目合格・税理士登録
    2007年 むらまつ会計事務所 開業

    【経営理念】
    「数字がわかる楽しさ」と「共感のお役たち」で
    「おカネの心配のない経営」を理念に日々奮闘中

石川:
村松税理士、本日はよろしくお願い致します。

村松税理士:
こちらこそよろしくお願いします。

石川:
日々経営者の方から税理士紹介のお電話を受ける中で、経営者・事業主の方がいつ頃会計ソフトを導入すればいいのかという質問を受けます。

なので今回「会計ソフトはいつ頃導入すればいいのか?」
というテーマで村松先生にお聞きしていきたいと思います。

村松税理士:
私の考えでは会計ソフトは事業を始めて,すぐにでも導入したほうがいいと思いますね。経理作業を会社で行う方と税理士に依頼する方がいると思うのですが、自分で行う方はすぐにでも導入したほうがいいと思います。

石川:
そうなんですね、それはなぜですか?

村松税理士:
個人・法人に関わらず、開業当初や設立当初は売上を上げることに経営者は必死で、会計がおろそかになりがちですが、本当は会社の数字を一番把握しておくことが必要な時期なんですよね。

例えば、お店を始めた方が、テナントや店舗改装などに掛かる初期投資、スタッフの人件費・日々発生する運転経費を早期に回収するために、
「今いくら儲かっているのか?」「今いくらお金が残っているのか?」を常に把握しておく必要があります。この2つのポイントをわかりやすく表してくれているのが、「簿記」というシステムなんです。

「簿記」は「会社の経営成績」と「会社の財政状態」を日々発生する商取引を帳簿に記録していくことで表してくれています。

ただ「簿記」の習得には多大な労力を必要としますし、経理に携わったことがない経営者の方が自力で帳簿を作成することは至難の業です。そんな「簿記」を誰でも簡単に出来るようにしてくれているのが、「会計ソフト」なんですよ。だから会計ソフトはすぐにでも導入したほうがいいと思いますね。

石川:
そうですね、経営者にとって会社の数字は常に把握しておかないと、
経営判断を誤ってしまいますもんね。
ちなみに自社で経理をするか、税理士に依頼するかという判断基準などはありますか?

村松税理士:
そうですね、難しい部分ですね。
商売の規模にもよりますが、おそらく社内で請求業務や通帳管理など経理の振込みなどが多くなってきて、経理担当者を付けないといけない状況なら、経理担当者を雇って入力業務を任せたほうが早いと思いますね。

トップ画像


石川:

では経営者一人での会社はどうですか?

村松税理士:
経営者一人でやっている方は悩みますね、社長の考え方にもよりますが、税理士に依頼することもできます。でも税理士に資料を渡すにも通帳のコピーを取ったり、ある程度資料をまとめる作業も発生するので、その労力を考えると逆に自分で入力したほうがコストも安くなるし、会社の数字を自分で把握することが出来るので良いという面もあります。

事業規模が大きい会社は、必ず自計化を行ったほうがいいですし、
事業規模が小さい経営者がどうするかは、判断に悩むところだと思いますね。

石川:
この判断はそれぞれの経営者で違って、時間とコストを考えて経営者に判断してもらうということですね。ただ会計ソフトは使い方が難しいイメージがあるのですが、会計ソフトを使ったことがない人でも簡単に使えるものなんでしょうか?

村松税理士:
顧問税理士などがいる場合は、その税理士が使っている会計ソフトを使うと思いますが。今の会計ソフトってよく出来ていて、簿記の知識がなくても使うことが出来るんですよ。

例えば簿記でよく使うけど一番理解するのが難しい、「借方」「貸方」がありますよね、こういった「簿記」の知識がなくても使うことが出来るんですよ。

例えば弥生会計であれば、「仕訳アドバイザー」や「簡単取引入力」という機能で、この機能を使うと「借方」・「貸方」を取引に応じて検索すれば、仕訳を導きだしてくれるので、ある程度簡単に、仕訳入力などをできるんですよ。
使い始めは確かに慣れてないので、多少辛い部分もありますが、商売って突然売るものが変わったり、取引が大幅に変わることってあんまりなくて、基本的には同じことの繰り返しなんですよね。

だから事業を始めて1ヶ月ぐらいで、取引内容が決まってくれば、それ以降はすぐに慣れてしまいますね。あとはそれぞれ会計ソフトのマニュアル本なども多くありますので、それを見ながら操作すれば、それほど問題ないと思います。

石川:
やはり最初は何をするにも苦労するということでね。
ちなみに会計ソフトを導入することによるデメリットはあるんでしょうか?
メリットも合わせてお聞きできますか。

トップ画像

村松税理士:ではまずメリットは以下3点ですね。
1.簿記の知識がなくても帳簿・会計資料が作れる
2.経営判断に必要な数字情報がすばやく得られる
3.税理士の顧問料が安くてすむ

1.は最初にお伝えした内容ですね。2.に関しては顧問税理士がいる企業は、経理処理を税理士に任せている場合は、税理士が訪問した時間を、資料や数字の結果報告で過ぎてしまいますが、自社で経理処理をしていれば、会社の数字を経営者自身が把握しているので、税理士に対して借入の相談や、設備投資はいつ頃がいいかなど、本当に経営判断に関わる相談が出来き、税理士に対して税務だけでなく、財務の相談やレベルの高い仕事を依頼することができますね。

あと経営者自身が月末に会社の数字をすぐ見ることが出来るので、次の経営判断をすばやく行えるというメリットもあります。3.は入力を自社で行ってもらえれば、税理士がその会社にかかる労働時間が減るので、おのずと税理士に掛かるコストも安くなりますね。

石川:
会計ソフトを導入すると経営者には良いことが多そうですね。
デメリットはちなみにどうでしょうか・・・?

村松税理士:
デメリットを上げると2点ぐらいですかね。
1.自分で入力処理する時間と労力がかかる
2.会計ソフト購入費用や毎年の維持コスト

1.はどうしても入力を自分で行うので、発生してしまう時間的な手間ですね、この時間を営業にまわせば売上を上げることが出来ます。でも、ある程度の規模でないと経理処理の量も多くないと思いますので、これも慣れてしまえばそこまで苦痛ではないと思います。2.これはお金的な問題ですね。

石川:
メリットを考えるとデメリットはなんとか克服出来そうですね。
では最後に会計ソフトにもいろいろ種類がありますが、
どのソフトが一番良いというのはありますか?

村松税理士:
んーこれは難しいですね、税理士によってそれぞれ好みもありますし、どのソフトが一番いいというのは一概に言えませんね。

それぞれのソフトに良い部分、悪い部分がありますので。
基本的に税理士を付けるのであれば、税理士が使っているソフトを使用するのが一番ですね。

石川:
顧問税理士を付けない場合はどうですか?

村松税理士:
本当にどれを買っていいのかわからない場合、エクセルやインターネットからダウンロード出来るフリーソフトでも大丈夫だと思います。なにより税理士を付けない場合は簿記みたいにしっかりしたものでなくても、データにしておくことが大事だと思います。自分がわかる帳簿をつけることが重要ですね。

事業がうまくいって税理士に依頼しようと思った時、何も手を付けていないより、そういったデータがあれば、税理士もすぐにその会社の状況を理解することができますので。

石川:
そうですね、経理がわからないから放っておくんじゃなくて、自分がわかる範囲でデータに残すことが今後税理士さんに依頼するときや、会計ソフトを導入する時に重要になってくるんですね。

本日は会計ソフトについて、いろいろお話をお伺いさせて頂き、
ありがとうございました。
村松税理士:
今から会計ソフト導入などに悩んでいる方の参考になればうれしいです。
本日はありがとうございました。